養殖生産構造改革推進事業について
事業概要
養殖による水産物の安定供給を目的に、養殖事業への新規参入の促進や規模拡大等による効率的な養殖生産体制の構築をめざして
養殖生産構造改革推進事業(平成20年度~平成22年度)を進めました。
対象魚種として、マグロ(ただし、他魚種にも応用可能)を選定し、養殖再生手段のひとつとして企業参入の受入れ、魚種転換の2種類の参入形態を想定しました。
新たにマグロ養殖へ参入またはマグロ養殖業者の地元誘致を想定するしている漁協に参考となる情報として、マグロ養殖参入例と業態、マグロ養殖に係わる国内外の動向、マグロ養殖を実施している地域の実態、養殖漁場に関する情報、養殖再生の事例等を調査し、データベースを構築して公開し
ました。
新たにマグロ養殖へ参入またはマグロ養殖業者を地元に誘致することを想定する自治体と漁協が調査・検討作業の参考となる「養殖再生プラン作成手引」、市況分析ツールと設備資金を回収するまでの収支分析ツールを整備し
ました。
事業の成果
(1)平成20年度は参入を希望する養殖業者と漁協のニーズを把握して再生プラン策定項目を検討するために次のように事業を進めました。
①文献等調査
②アンケート調査(マグロ養殖を実施している14府県の担当部署、マグロ養殖業者)
③ヒアリング調査(マグロ養殖業者、卸売業者、研究機関)
④公開可能な成果をこのページで公表する。
(2)平成21年度は、五島市の養殖再生プラン作成を支援しながら、次のように事業を進めました。
①マグロ養殖業全般に関する事例調査
マグロ養殖を実施している14府県に対して、魚類養殖における規制の有無と規制内容、養殖業への支援策の有無、振興プランの有無についてアンケート調査を実施し
ました。
文献調査、マグロ養殖業者と漁協の聞取調査を行い、マグロ養殖業の経営形態、マグロ養殖業者の業態、参入企業の漁協経営への貢献の実情をまとめ
ました。
②データ収集とデータベースの拡充
マグロ養殖に係わる国内外の動向に関する養殖業データベースと、参入希望者のために養殖漁場データベースの構造、表現方式と内容を拡充し
ました。
コンテンツを拡充し、参入を受入可能な地域から地域の実態を伝えるために情報発信できる基盤を整備しました。
③養殖再生プラン作成手引(自治体版)の整備
自治体が養殖再生プランを作成する手順を検討し、調査項目と検討項目を整理して、マグロ養殖をモデルに養殖再生プラン作成手引を整備し
ました。
参入受入を希望する地域にとって参入希望者を誘致しているという意向を外部に知らせ、参入に結びつくように情報発信することが重要である。養殖再生プランの策定者が地域の現状を把握するためと、参入希望者が他地域と比較検討できるように地域から発信すべき①漁業生産量等に関する情報、②漁業権(共同、区画、定置)に関する情報、③許可漁業に関する情報、④運輸、交通に関する情報等の地域情報を整理し、五島市をモデルに事業のホームページで地域情報の一部を発信し
ました。
<成果の紹介> 参入の受入を準備している地域の紹介ページ
④市況分析ツールの整備
利用者が東京都中央卸売市場の月報データから必要な情報を入力することで、品目別に市況分析用グラフを作成・出力し、品目別取引データに解析係数を与えることにより、解析結果がグラフ表示される市況分析ツールを整備し
ました。
(3)事業最終年度の平成22年度は、事例調査、データベースの拡充、養殖再生プラン作成手引(漁協版)の整備、収支分析ツールの整備等を実施しました。
①事例調査とデータベースの拡充
新たにマグロ養殖へ参入またはマグロ養殖業者の地元誘致を想定する漁協に参考となる情報を調査(文献等調査、
漁業者・漁協・自治体・流通業者等の関係者をヒアリング調査、府県向けのアンケート調査)し、整理してホームページで公開しました。
量販店での水産物販売額等消費者の水産物消費動向を表す統計情報を養殖業集計データに追加しました。
②収支分析ツールの整備
マグロ養殖業へ参入をめざす漁業者が利益確保をシミュレーションできる収支分析ツールを整備しました。
他魚種での応用も考慮しています。
③養殖再生プラン作成手引(漁協版)の整備
企業参入または魚種転換を図る漁業者のいる漁協向けにを養殖再生プラン作成手引(漁協版)を整備しました。
④県全体の養殖再生を検討するケーススタディ